2018.12.21 公開
自然エネルギー、再生可能エネルギーとはどんなもの?
地球の熱エネルギーを利用する、まさに“地球の恵み”
「地熱発電」について知る
「地熱発電」では、文字通り、地中にある熱源を利用して電力を生み出します。
“火山大国”である日本にはその熱源が豊富にあると考えられ、資源の少ない日本にとって貴重な発電システムのはずですが、十分に普及しているとは言えません。純国産エネルギーとして利点がたくさんあるのに、メインの発電システムになり得ないのはなぜでしょうか。
その辺りの事情も含めて、「地熱発電」についてまとめました。
発電の仕組み
地上で降った雨や雪は、地表面から浸透し、マグマの熱で蒸気となって、地下1,000~3,000m付近に溜まります(地熱貯留層)。
井戸などを掘って、この高温の蒸気(地熱流体)を地熱貯留層から取り出し、タービンを回転させて電気を起こすのが「地熱発電」です。
主な種類
主に以下の2種類があります。
1. フラッシュ方式
200℃以上の高温地熱流体を取り出し、セパレーターで蒸気と熱水に分離し、その蒸気で直接タービンを回して発電する方法。
分離した熱水も発電後の蒸気も、冷却して水にして地下に戻します。
2. バイナリー方式
取り出した地熱流体で沸点の低い二次媒体を温めて作り出した蒸気でタービンを回して発電する方法で、低温の地熱流体でも発電できるシステム。
発電後の二次媒体は凝縮器で水に戻し、再利用できます。
発電量
日本国内で稼働している地熱発電所の設備容量は、合計で約52万kWです(2016年6月現在)。地熱発電は、設備利用率の高さが特徴で、80%以上での稼働が可能とされています。この率で算出すると、日本国内の年間発電量は約36億kWになり、一般家庭約100万世帯分をまかなうことができます。
メリット、デメリット
メリット
・マグマの熱を利用するので、エネルギー源が枯渇する心配がほとんどない
・発電のシステム上、CO2をほとんど排出しない
・発電量が昼夜や季節によって変動することがなく、安定している
デメリット
・発電設備を設置するための調査や工事に時間とコストがかかる
・地熱発電に適した場所の多くが国立公園の中や温泉地であることから、土地所有者との調整が難しく開発しにくい
発電に適した場所、発電所が多い地域
地熱発電に適した場所の主な条件としては、
・火山の近くで平坦な土地
・海抜が低いエリア
が挙げられます。
地熱発電設備を作るには、高温の蒸気がたまっている層まで掘削しなければなりません。設置場所が山の上だと、山の高さの分も掘らなければならずコストがかさんでしまいます。そのため高温の蒸気がある火山の近くで、平坦で海抜の低い土地が適しています。
日本国内で多く設置されているのは、九州・東北・北海道など。
国内最大規模の地熱発電所は、大分県の阿蘇くじゅう国立公園内にある八丁原地熱発電所で、約11万kWの出力を誇ります。
地熱発電についてもっと知りたい方へ
参考となる書籍やウェブサイト、ウェブページをご紹介します。
参考文献
『図解よくわかる自然エネルギーと発電のしくみ』白鳥 敬著、飯田 哲也監修 2013年1月 日本実業出版社
参考サイト・ページ
資源エネルギー庁:再生可能エネルギーの種類と特徴 地熱発電
資源エネルギー庁:政策について> 資源・燃料> 地熱資源政策・地熱発電について
資源エネルギー庁:エネルギー白書2018
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構:JOGMEC地熱資源情報
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構:NEDO再生可能エネルギー技術白書 第2版 第7章 地熱発電
日本地熱協会
地熱情報研究所
特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
国立環境研究所 環境情報メディア 環境展望台:環境学習 >探究ノート >ものづくりと資源・エネルギー >再生可能エネルギー >地熱発電
環境エネルギー政策研究所
環境ビジネス:環境用語集 地熱発電
上記URLは2018年11月の記事執筆時点のものです。
時間の経過とともにリンクが無効となる可能性がありますことを予めご了承ください。